The DECKの特徴の一つである「ものづくり」
そのクリエイティブな取組みを広げる新企画が始まりました❗
その名も「The DECKクリエイティブツアー」🏯
The DECKと繋がりがある工場や企業に足を運び、その扉を開け「ものづくり」や「デザイン」の奥深さに触れるツアー。
第一弾は、 大阪市に本社を置くフォントメーカー「株式会社モリサワ」に行ってきました。
デザイナーの方なら “モリサワフォント”でも、おなじみですよね ♪
「文字」を扱う会社とのご縁は、なんと The DECK代表 / ”森澤” と ”モリサワ” の「文字繋がり」から企画がスタートしました♪👈
★ The DECK代表モリサワと行く!MORISAWAミュージアムツアー ★
今回はThe DECKのクリエイティブコミュニテイ(ヨルツドMeetメンバー)を主体とした15名のクリエイターさんが参加。
さっそくモリサワビルに到着!■ モリサワビル全体に文字デザイン
エントランスすぐ、受付背面にある真っ白にライティングされた壁に案内されました。
何だろう?と思って近づいてビックリ。 真っ白い壁と思いきや、一面に文字がびっしり書かれていました。
これは写真植字機に使用される「文字盤」をイメージしたもので、モリサワフォントの代表的な14書体がデザインされたもの。
すでに気づかぬうちに”モリサワビルの空間”に足を踏み入れていたようです....。 最初から「文字」によるBIGインパクトの洗礼を受けました! ■ 来年100周年記念!世紀の発明「写真植字機」
ショールーム見学の前に、まずは歴史をお勉強。
歓迎スライドをご用意いただいており、メンバーのワクワク感も最高潮に!
株式会社モリサワは、創業者の森澤信夫が「邦文写真植字機」を発明し、1924年に特許を申請したことにはじまります。
今はパソコン一つで簡単に印刷物ができますが、昔は印刷物に大変な労力とコストがかかっていました。
それを劇的に変えたたのが写真植字機。
「写植」とは、ガラス板に印字された文字をカメラ(写真)の技術を応用し、一文字一文字、印画紙に写し、組版する技術。
それ以前は活版印刷という活字組版を使った印刷方法がありましたが、設置時間や印刷準備にすごく手間がかかっていました。
写真植字の登場でこれらの印刷作業を迅速化することができ、より精密な文字やデザインを調整して作成できるようになりました。
そんな写真植字機の当時のお値段は300万〜500万。会社単位での扱いもありましたが、個人で購入し仕事をすれば、写真植字機の購入費と家一軒を数年で建てた人もいた程、高収入が得られる専門職だったそうです。
また、足が不自由など通勤に苦労する方が、この写真植字機一台あれば、自宅で仕事ができたといいます。
技術革新とはまさにこの事ですよね。邦文写真植字機が発明され、来年で100周年。それを記念して実際の写真植字機を当時の形状を活かしつつ、一部の機能をデジタル化して現在に蘇らせた写真植字機「MC-6型(2024)」を見せていただきました。
現在、印刷技術は進化し、私達が普段目にする印刷物の大半は「オフセット印刷」が主流ですが、そこに至るまでにはこんな歴史と発明があったのですね。
■ デジタルフォントへの移行のキッカケが凄い - Apple, Adobe, モリサワ-
今やコンピュータで当たり前のように印刷物のデザインができる技術。 ここには世界的企業のApple、Adobe,そしてモリサワが大きく関わっています。
え、そうなの?全然知らなかったという、アナタ!必読ポイント。
1980年代に発表されたDTP(Desk Top Publishing)は、雑誌、チラシ、パンフレットなど、文字と画像とイラストのある印刷物の制作をパソコン上で行い、プリンターで出力できる革新的な技術。この技術革新により、私達の生活は大きく変わりました。 しかし当初はアルファベットのみに対応していたため、日本語の扱いに課題がありました。日本語を一から研究すると時間も費用も膨大にかかる.....。そこでモリサワにコラボレーションの声がかかり、パソコンで使われるデジタル日本語フォントの開発がスタート。Apple、Adobe,モリサワ、この3社の足並みが揃い、アジアで日本が初めて1989年に日本語DTPとして発表し、世界に広がりました。 しかも当時のAdobeは、従業員50名程のベンチャー企業。そんな会社と一緒にコラボするという決断は、リスクもありチャレンジだったといいます。社内で反対の声もあったなか、”面白い事が始まるかもしれない。やってみよう!”という社長の一声で実現 。 ここがターニングポイントだったそうです!
■ 個人でも使える2000書体以上のフォント
今は「MORISAWA PASSPORT」「Morisawa Fonts」というサブスプリクションサービスでフォントを提供している同社。
このサービスのおかげで、私達はフォントを1書体ごとに購入するのではなく、年間契約で数百種類のフォントを個人でも自由に使えるようになりました。
また毎年新しい書体も発表されているのですが、実は制作される日本語書体は、数が多くすごく大変。
新しい書体に最低でも企画構想から2〜3年、長いもので10年かけて開発されるフォントもあるのだとか。
書体を作るデザイナーの手書きのレタリングから始まり、まさに一文字一文字が芸術作品。
普段私達が生活をしていて、”モリサワフォント”を見ない日はありません。
社会に、私達の生活に、大きな影響を与えています。そして文字によるコミュニケーションを日々支えてくれています。
(いつもお世話になっております...!)
■ モリサワ・コレクションで「文字と書物」の世界にタイムスリップ!?- 人類の文明は「文字」を通じて引き継がれている -
最後にご紹介するのは、ショールーム内にある「文字と書物」に関する貴重な展示品を集めたモリサワ・コレクションゾーン。
二代目社長の森澤嘉昭氏が長年に亘り蒐集した文字に関連する貴重なコレクションの数々がズラりと並びます。
展示品を見ながら印象的なお話を伺う事ができました。それは、地球上の動物で人間がなし得た”二つの事”について。
「火を使う」&「文字を書き残す」
この二つの事を人間だけが実現し、「書き残す」「次に伝える」という事ができたので”文明”というものが残っています。
「文字」というのは空気や水と一緒で、人間にとって身近なもの。 「文字」によって歴史が繋がれ、残された「文字」を解読すればその時に何があったかが分かる。
...まさに過去へのタイプスリップですよね。ここでは、貴重なコレクションと共にその変遷をみることができました。
・マヤ文字が書かれた土器(本物のマヤ文字が刻まれています!)
・世界で最も古い印刷物の一つ「百万塔陀羅尼」(法隆寺證書付きの貴重なひとつ!)
・活版印刷の発明者であるグーテンベルクが完成させた最初の刊本「42行聖書」(活版印刷された最初の本!)
・「獣骨(甲骨文字)」(漢字の源流のひとつ!)
・1230年頃のイギリスでゴシック体で手書きされた聖書「写本『聖書』(え、印刷じゃなくて手書き??思わず二度見)
ここでは全てをご紹介しきれません...ので(是非、現地でご覧ください!)
中でも圧巻だったのが、別室にあるウィリアム・モリスに関連する書物。
19世紀にイギリスで活躍した芸術家・詩人・小説家のウィリアム・モリス。彼が晩年に設立した私家印刷所「ケルムスコット・プレス」。
ここから刊行された書物は世界で最も美しい印刷芸術と評価されています。なんとモリサワでは、その書物である世界の3大美書のひとつ「チョーサー著作集」を含む全刊本53部66冊を所蔵されています。
この貴重なコレクションは美術館、博物館、展示会などに貸出すこともあり、全部揃ってない日もあるとの事ですが、
この日は幸いにも全てのコレクションを拝見することができました❗
「文字」によって知識や文化が次世代に受け継がれ、発展してきた変遷を見て、人類の文明は「文字」を通じて引き継がれていると改めて感じました。
あっという間に2時間のツアーが終了。長編映画を一本を見終わったかのような満足感でした。
クリエイターの皆さんにも喜んでいただけて、とても良かったです。
まだ全部見れていない〜、もう一回来たい〜!というお声もちらほら。
メンバーと一緒に外に出てツアーをするというのは初の試みでしたが、現場で知識を学ぶ大人の社会見学はいいですね〜。
(帰りはお茶会&振り返り会をしてツアーの余韻にひたりました♪)
今後もThe DECKは大阪のクリエイティブをサポートする拠点の一つとして、色々な事にチャレンジしたいと思います。
次回のツアーレポートもお楽しみに〜❗
The DECK代表モリサワと行く!MORISAWAミュージアムツアー
■ 株式会社モリサワ