映像クリエイター 横峯 誠悟さん 「いいと思ったらすぐにやる! ラテン流スタイルで我が道を行く」 インタビュワ― コピーライター / 橋本 祐介氏 2020年2月に大阪で開催されたイベント「関西コワーキングフォーラム」。その会場でThe DECKの森澤と出会ったことがきっかけでThe DECKを利用するようになったのが、映像クリエイターの横峯 誠悟さんです。 若くして海外へと飛び出し、現在も世界を舞台に活躍し続ける彼の出発点はどこにあったのか。そして今後は何を目指し、The DECKという場で何を「Make It Happen!(実現)」していくのか。その答えを探す中で見つけ出されたのが、「ラテン流スタイル」というキーワード。天性の行動力とたゆまぬ努力が、進むべき道のりを切り開いていったのです。 インタビューを行ったのは、コピーライターの橋本 祐介氏。これまで数多くの企業のブランディングやグラフィックデザインの制作に携わり、経営者や個人事業主の情熱に触れてきた独自の観点で、横峯さんのドラマに満ちたキャリアにじっくりと迫ってもらいました。 代表の森澤も記事の中に登場します! chapter 1 2020年春、横峯誠悟の「今」。 横峯:まず最初に、森澤さんに御礼を言わせてください。今回、僕のインタビュー記事を橋本さんに書いてもらうにあたり、The DECKのブログに掲載していただくことになって、とても感謝しています。 森澤: いいえ、とんでもないです。今日は興味深いお話が聞ければと思い、楽しみにしていました! 早速ですが、横峯さんと橋本さんはどういったつながりで今回のインタビューが実現したんですか? 橋本: 2019年の秋に、京都のコワーキングスペースで出会ったのがきっかけです。海外を拠点に活動してきたという横峯さんのキャリアを記事にまとめれば、きっとおもしろいはずだと思い私の方から提案しました。ただ、普段は雑談を交わす程度なので、こうしてじっくりお話を聞くのは初めてですね。 森澤: 横峯さんは最近どんな活動をされているんですか? 横峯:昨年(2019年)の秋にスペインから戻ってきてからは、国内を拠点にしながら依頼を受けたプロジェクトの映像制作をやってますね。それと同時に、大阪や京都のコワーキングスペースを訪問して、自分のことを知ってもらうためのプレゼンをしたり、イベントに参加して新しい人とのつながりを作ったりしてます。The DECKのことを知ったのも、「関西コワーキングフォーラム」で森澤さんと出会ったのがきっかけでしたね。 橋本: なるほど、日本に帰ってきてからもアクティブに動いてるんですね。 森澤: 最初にお会いした印象通りで、全然じっとされてないですね(笑)。 橋本: 映像制作をされているということですが、企画から撮影・編集まで自分ひとりでやってるんですよね? これって映像の業界では珍しい形なんですか? 横峯:一人で全て完結させている人間は少ないと思いますよ。一般的には「撮影なら撮影、編集なら編集」とそれぞれの分野に絞って仕事をしている人の方が多いんじゃないかと。 橋本: 一人で統括して作れるっていうのは大きな武器ですよね。他にも、ご自分の映像に対するこだわりや特長みたいなものはあるんですか? 横峯:海外でしばらく映像制作に携わり、現地のクライアントやクリエイターと仕事をしてきたので、日本でよく使われているような映像とはひと味違ったクオリティを提供できる自信はあります。具体的に言うと、あまり説明っぽくなくて見ている人の感覚に訴えかけられるものを作る、ということが得意ですね。 橋本: ああ、それは横峯さんの自己紹介動画を見るとわかる気がします。短い動画ですが、「きっとスゴイ人だ!」とすごくワクワクしたのを覚えてます。それだけ伝わる力が備わっているんでしょうね、映像の中に。 森澤: 本当にカッコいいですよね、この動画。情熱大陸の予告CMを見ているようでした。(笑) コワーキングスペース『FIU』会員紹介動画 Feb. 2019(バルセロナ) https://www.instagram.com/p/BtiNazoCscJ/ chapter 2 海外での経験と、その魅力。 橋本: 横峯さんのキャリアを語る上で欠かせないキーワードが「海外」だと思うのですが、改めてこれまでの歩みを簡単に振り返っていただけますか。 横峯:初めて海外に行ったのは大学(神戸外国語大学)3年生の時ですね。チリのコンサルティング会社で働く機会があったので行くことにしました。 森澤: 私も海外で活躍している人には数多く会ってきましたが、これだけ早いタイミングで、しかもチリに行くというのはかなり特殊なケースだと思います。 橋本: どういう経緯でチリに行くことになったんですか? 横峯:あこがれがあったんですよ。外資系のコンサルティング会社で英語をバリバリ使って働くのがカッコいいなと思っていて。それから、求人の依頼があったのがマッキンゼー社の系列企業だったというのも魅力でした。行き先がチリだったのはたまたまです。Skypeで面接を受け、「いつ来られる?」と聞かれたので「今すぐ」と答えたら、もう翌月にはチリに渡っていたという流れです。 橋本: あっという間のできごとだったんですね。迷いや不安はなかったんですか? 横峯:なかったですね。海外に行きたくてずっと英語を勉強してましたし、いいチャンスだと思って。ただ、チリには2年住んだんですけど、スペイン語があまり上達しなかった。それでスペインのバルセロナに1年間留学して、本気で勉強しました。 ところが、留学後にピースボートに乗りたくて通訳業務の試験を受けたところ、合格できなくて…バルセロナでの留学期間が終わったあとは、さらにスキルを伸ばすためにメキシコで通訳の仕事に就きました。そのおかげもあって、次に受けたピースボートの通訳業務には合格できたんです。 バルセロナ留学時のホームパーティにて - 2012 橋本: ちょっと待ってください、ここまでは映像制作とは関係のない業種で仕事をされてますよね。映像の仕事に就いたのはどういう経緯だったんですか? 横峯:ピースボートで出会った女性と一緒にニューヨークに住むことになって、求人情報を探していたらたまたま日本のテレビ番組の制作会社が社員を募集してたんですよ。それに応募しました。 森澤: そうだったんですね…私はそのニューヨークで同棲していた女性とのエピソードがすごく気になるところですが、それはまた別の機会にしておきますね(笑)。 橋本: 森澤さん、話を戻しましょう! ということは、その時点では制作については未経験だったということですか? 横峯:そうです。スペイン語を使えることと、海外勤務経験を買ってもらったってところです。その会社では日本のテレビ局向けに海外で制作された映像コンテンツを勧める、いわばバイヤーのような仕事をやってました。 橋本: なるほど、どの番組がいいかを選ぶのにも、語学力が必要ですもんね。 横峯:ただ、徐々に「自分で作りたい」という気持ちが強くなってきたんです。それで仕事の合間に映像制作の学校に行って撮影や編集の技術を学んで、副業のような形で動画を作り始めたんです。 橋本: それって、いつ頃の話です? 横峯:2017年の暮れ、くらいですかね。そのタイミングで、勤めていた会社の社長に自分の作品を見せたら、社内でも制作に関われるようになりました。ただ、副業で作っていた映像が好評で、さらなる自分の可能性を試したくなり、その半年後くらいには退職して映像の世界でフリーランスになることを決めました。 ヘアーサロン『AUBE』広告動画 - Dec. 2017 https://www.youtube.com/watch?v=5W9TRXeeIa0 橋本: 制作者としてデビューしてからフリーになるまで短い期間でしたが、すでにクライアントもついていたようですし、横峯さんの性格的にもきっと不安はなかったんでしょうね。 横峯:そうですね、自信も手応えもありましたね。 橋本: フリーになってからはどんな活動を? 横峯:一時的に日本に帰国してたんですけど、その後は再びバルセロナへ渡りました。映像の世界で自分がスペインで自分が通用するか知りたいと思って。 バルセロナではコワーキングスペースでプレゼンして仕事をもらったり、勉強したりしながらレベルアップしていくことで、映像に関してはひと通り自分で何でもできるようになりましたね。それが2018年から2019年にかけての話です。 橋本: 普段、横峯さんと話していても「スペインではこうだった」みたいなことをよく言うじゃないですか。それだけご自身に与えた影響が大きいんだろうなと思うんですが、やはりスペインは好きですか? 横峯:好きですね。英語を話している時の自分はどうしてもビジネス色が強くなってるけど、スペイン語は自然な気持ちで話せてる気がします。 森澤:僕も英語の方が日本語よりストレートな表現ができるので、話す言語でキャラが変わるという点はすごく共感できます。僕はスペイン語圏に関しては、メキシコにちょっと行ったことがあるぐらいなのですが、具体的にはスペインのどんなところが好きなんですか? 横峯:ひとことで言うと「即興性」ですかね。そんな文化に惹かれます。 橋本: おお、意外と簡潔に言葉が出てきた。もっと「雰囲気」とか「空気感」とかアバウトな表現になると思ってたのに。 横峯:彼らって、思いついたら何でもすぐやるんですよ。例えば仕事中でも「ちょっと休憩してコーヒー飲みに行こうよ」と気軽に誘えば、すぐ行ける。その感覚がすごく自分に合ってるなって。 橋本: そうか、日本だとそれだけの用でも「いつ空いてる?」って事前に約束しがちですもんね。飲み会に行く時でも。 横峯:ビジネスでも同じで、日本人は事前の準備を大事にするし、どうしても「失敗したらどうしよう」と慎重になりがちだなと。向こうの人たちは「いい」と思ったら失敗した時のことは置いておいてすぐ実行する。 橋本: それこそ学生時代に「チリに行きたい」と思いついたらすぐ行っちゃう人とはすごく気が合いそう。 横峯:そうそう、そういうことです。(笑) 森澤: ラテン圏の方々の「即興性」の文化っていうのは、どうやって培われてきたんでしょうね? 横峯:ラテン圏の国の多くは必ずしも生活が豊かではないから、ゼロから何かを生み出していくというのが習慣になってるんでしょうね。例えば、誰かの誕生日を祝う時でも、日本人は何日も前から準備して、各自プレゼントを用意するところから始めるケースが多いでしょう? ラテン圏では、その日に人が自然と集まるところからスタートするのが一般的でした。誕生日を迎えた人が好きな歌をみんなで歌い、ギターを弾ける人が演奏するなど、その場で形づくっていくのがとても上手でしたね。 橋本: その場で機転を利かせるのが得意なんですね 横峯:そうとも言えますし、彼らはプレゼントにあまりお金をかけられないという事情もありました。でも、僕は彼らのスタイルに憧れていたし、そこで生活することで自分自身の生き方にもいい影響を与えてくれたという実感はあります。 数々の国を渡り歩き、その中でもラテン圏の文化に大きく影響を受けたという横峯さん。後編の記事では、そんな横峯さんの今後のプランについてお聞きしました。是非そちらもお読みください。