コミュニティコーディネーター:本部友香  モトベユカ(愛称:Yukaさん) インタビュワー:向井布弥(愛称:ふーみん)   大手企業やベンチャー企業の社員さん、クリエイティブなものづくりをしている人など 様々な領域の方に日々、コワーキングスペース、シェアオフィス、セミナー・イベント会場、ものづくりスペースとしてThe DECKをご活用いただいております。 そんなThe DECKではコミュニティコーディネーターが常駐しており、たくさんの人と交流できるイベント企画や場づくりをしています。 グローバル領域や地域活性化プロジェクト、人材のマッチングや起業支援など、自分のスキルを活かして活躍中!  ヴァイオリニストであり、バイリンガルな3児の母であり、インターナショナル保育園を起業経営されたYukaさん。 2020年9月よりThe DECKのコミュニティコーディネーターの「金曜日の顔」として新しく加わってくれています! どんな人物なのかいろいろ聞いていきましょう♪

■目次

  • 経歴 -Yukaさんってどんな人?-
  • 起業エピソードYukaPica英会話
  • アガペインターナショナルスクール設立
  • 閉園のきっかけは
  • コミュニティコーディネーターとして声がかかった時の心境
  • The DECKでどんな人に会いたいですか
  • Make It Happenしたいこと

経歴-Yukaさんってどんな人?- カナダのトロント郊外で幼少期を過ごし、10歳の時に日本に帰国 日本の大学を卒業 物心ついた頃からピアノを始め、8歳からヴァイオリンにかわり、大学時代はとくにヴァイオリンに情熱を注ぐ学生生活を送る 卒業後システムエンジニアとして2年間サーバー運用担当 機械より人に向き合っているほうが向いていると気づき始めた頃 父親の会社の人事部部長に「人相手に仕事せぇへんか?」と呼び止められたことをきっかけに転職 父親が経営する再生PET樹脂の製造会社の社員として8年海外営業担当として勤務 結婚妊活をきっかけに退職   妊婦ライフはひどいつわりでずっと寝込む、妊娠高血圧症候群、難産、産後鬱を体験 隣人の超ポジティブなママ友に救われ、価値観が大きく変わった 0歳児から英語で絵本の読み聞かせをはじめ、楽しさ・喜びを見出す  

”Go and See” まず行ってみて、見る。 ”Try and See” まずやってみて、見る。 “Think” そして次のアクションを考える。

  ふーみん:英語で子育てをすると決めたきっかけは何だったのですか? Yukaさん:赤ちゃんに迫られたんです ふーみん:どういうことですか? Yukaさん:(筋肉痛と関節痛で動けなかったため)出産3日後にして、看護師さんの助けで、ようやくわが子を抱きかかえることができました。話しかけようとしたときに言葉が出なかったんです。その時に脳内で英語と日本語の自分がいて、素直に今の感情を表現した時に出た言葉が” I love you.”だったんです。 ふーみん:えええ(感涙) Yukaさん:すぐその時に夫に電話して「英語で育てていいかな?」と希望を伝えました。夫は「いいよ。君の自由にしたらいいよ。」と賛同してくれたので、私がこどもに話しかける時は100%英語になりました。 Yukaさん:私はカナダで幼少期を過ごし、日本に帰ってきたときが10歳でした。そしてこどもを生んだのが34歳だったので24年間ずっと苦しい感覚の中で生きていました。なかなか日本の文化に馴染めなかったんです。 小中学生時代、同世代の輪の中に溶け込めず非難されることに対して、ずっと怒っていたんです”I hate Japanese!”って。自分で自分の国籍を否定していたのですが、その葛藤の中でも素敵な日本人の友達とも出会い、いやいやJapaneseではなく、Japanese culture?などと怒りの対象を模索して行ったり来たり・・・。 でも集団の中で慣れて安心した頃に自分らしい言動を取る度に、個の自分を叩かれている気がして「どうしたら私は私らしくいられるのか」と自問自答を繰り返していました。その葛藤の中で答えを模索しながら大人になり、わが子を初めて抱いた時に”I love you.”の言葉が出たんです。 ふーみん:そこからYukaさんの人生のターニングポイントみたいなのが始まったのですね。 起業エピソードYukaPica英会話 ふーみん:専業主婦だったYukaさんが起業家になるまでの道のりはどんなドラマがあったのですか? Yukaさん:まず、英語の絵本読み聞かせにドハマりしていたので、これを外向きにもやりたいと。夫に相談したら「まずチラシ作って呼びかけてみたら?」とアドバイスをもらったので、すっかりやる気がでて1000部程配りました。 ふーみん:す、すごい。 Yuka:ワンコインで「英語絵本読み聞かせ」という形で教室を開きました。やっていると英語の童謡や手遊びも取り入れるようになり、保護者の方たちからの評判が良くなっていきました。YukaPica親子英会話はこうやって始まりました。 ふーみん:お母さんたちも、教えられているっていうより自然と赤ちゃんとアイコンタクトとったり、コミュニケーションができて楽しく触れ合えますよね。 Yukaさん:そうです。みなさん自然に愛の言葉を英語で語りかけるようになります。日本の親子教室とはまた違うアプローチなんです。 ふーみん:事業の原点が英語絵本読み聞かせだったんですね~ Yukaさん:そうなんです。自分も子育てしていたので説得力もありましたし、どんどん広がっていきました。2人目が生まれたら上の子の教室と下の子の教室という形で自然とクラスが増えていきました。一人で講師をしていたため、二人目の産休育休中に、生徒さんがYukaPicaで慣れた英語にずっと触れられるように、YouTubeチャネルでオンライン配信を始めました。今は、英会話の教室はやっていませんが、YouTube配信は続けています。 インターナショナル保育園設立 ふーみん:自分でインターナショナル保育園を設立しようとなった経緯を教えてください。 Yukaさん:上の子が2歳になるころ、言葉数が増え、自然や人にますます興味を示すようになりました。そろそろ幼稚園に預けていろんな経験をさせてあげたいなと思い、幼稚園を調べ始めました。 日本の幼稚園の教育はどうしても肌に合わないなと判断し、インターを9園ほど見学しました。そのうちの1園に入園したのですが、途中で移転してしまって、通えなくなってしまいました。それがきっかけで自分でインターナショナル保育園を設立することに繋がっていきます。 娘が5歳ちょっと前の頃です。 Yukaさん:子育てでもっとも大事にしているのは「人間教育」です。思いやりや人に対する愛情です。私自身クリスチャンとして育ってきているということもあり、「無条件の愛」を教育の土台に入れていきたいのですが、母親ひとりでは限界を感じていました。 自分が理想とし、保育園に求める幼児教育のポイントを書き出すと、残念ながら存在しませんでした。条件を妥協したり削れないなら・・・「創るしかない」と。 ふーみん:そもそも娘さんのために。 Yukaさん:はい。一番大事な時期だから譲れないと思って、やりました。決断して3か月で設立しました。その名もYukaPicaインターナショナルプリスクール。後に、アガペインターナショナルスクールに改名。 ふーみん:決めてからが早い! Yukaさん:無料で使えるリソースは夫でした笑。起業コンサルから、事業設計、マーケティングやHP制作、集客までずっと伴走支援してもらいました。 ふーみん:旦那さんなしでは実現できなかった一大プロジェクトですね! Yukaさん:はい。夫なしでは無理でした。当然友人もとても助けてくれました。YukaPica英会話で出会ったママやグロービスで出会った方にLINEグループに入ってもらい、起業準備のレポートを日々配信していました。起業はとても孤独で不安。具体的な課題やあいまいで不安な気持ちまで、何でもレポートで送信し、彼らはいつもエールを送ってくれました。 ふーみん:起業家Yuka誕生!無いサービスなら私がやる。まさに起業家精神です。保育園の経営はどのくらいされていたのですか? Yukaさん:3年1か月です。

閉園のきっかけは

ふーみん:事業を閉じるきっかけはやはりコロナ禍ですか? Yukaさん:いいえ。1番のきっかけは3人目の妊娠です。気分の悪さがずっと続いていたことで、現場に立つ回数が減っていき、従業員とのコミュニケーションの絶対量が大幅に減っていきました。従業員にしんどいことを打ち明けられず、精神的に自分を追い込んでいってしまいました。 ふーみん:もっとも大切にしたいわが子とのコミュニケーションや家庭内での主婦業も、体調や精神が安定しないと追いつきませんよね・・・。 Yukaさん:そうですね。強がっているわりに、現場の先生から理解を得るための努力をおろそかにしてしまっていたと反省しています。また同時に、保育園ならではのトラブルやそれに伴う手続きに何か月も追われ、すっかり疲弊してしまったことが大きいです。 ふーみん:肉体的疲弊もさることながら、その心的葛藤はすさまじい状況ですね。 Yukaさん:あれで夫はキレてもよかった。でも夫は、事業をするという大変さに理解があったことと、自分が始めたことは、自分で苦労して、自分で決断していくものだというスタンスなので批判も否定もしませんでした。 私は理想が高すぎたんです。こどもを立派に育てる。子育てに時間をかけて、ご飯もばっちり作って、おうちもきっちり綺麗にして、経営も完ぺきにする!みたいな。なので、ものすごいギャップでした・・・。 ふーみん:でも、周りにはめっちゃできるスーパーママというかキャリアウーマンに見えたでしょうね。 Yukaさん:そうなんです。周りに褒められるたびに、さらにギャップを感じて負のスパイラスに落ちていきました。 ふーみん:そのころに「閉園」が心によぎったのですか? Yukaさん:私の頭の中に「閉園」という言葉はありませんでした。保育園を巣立った子はいずれ大人になります。その成長の過程を知ったり、また会えるのを楽しみに思うだけで、夢と希望があります Yukaさん:うちに来たこどもたちは語学力がとても伸びたので英会話力が高くなり、評判が上がり人数も増えていきました。私自信もコーチングを学び、コーチング的にこどもたちにアプローチしていました。それもうちの強みで、こどもにぜったいに教え込まない。こども自身に考えさせるために、かつ、追い込まないように配慮しながら、質問をしながらこどもに話してもらうんです。そしてプラスの方に自然な形で導いていきます。手がかかった子ほど可愛くて仕方ないですね。 この子達が大人になり、結婚して、結婚式はぜひ参列したい!とか勝手に想像をめぐらしたりして・・・♡ だから当然「閉める」なんて考えられませんでした。 3人目の妊娠で産休制度を整え、まずは自分が取得することで、現場の先生たちのロールモデルを作らなければと躍起になっていました。 でも、先生の採用・研修や、引継ぎなどもうまくできないまま、お産を迎えることになりました。産後1か月経ってから現場に戻りはじめました。 ふーみん:ええええ!そんな無茶な。 Yukaさん:ねぇ。その時点でハイな状態が続いていたし、後任の先生も「荷が重すぎる」といって立て続けに辞めてしまって、にっちもさっちも行かない状態になったんです。そんな感じでばたばたしているうちに・・・コロナになり・・・。 ふーみん:何ということでしょう・・・。 Yukaさん:やめるつもりは全くなくて、コロナ融資も申し込んで数百万円借りてなんとか回そうとしていました・・・。究極に閉園に追い込まれたのは、保育園の近隣で、濃厚接触者が出たとの報告が入ったことでした。うちの外国人の先生たちは、たまたまだったのですが、奥さんが出産して数か月だったため、乳児のことを考えると、暫く出勤ができないということになったのです。 外国人の先生がいないインターはインターではない。八方塞がりになったことで、精神的にも限界を感じ、あるとき夫にぽろっと「やめ、よう、かな」とこぼしました。 夫は「そうか。わかった。」とだけ言って、良いも悪いも評価しませんでした。いろんな批判や恐怖、なんとも言えない気持ちがあったのですが、それ以上に・・・ほっとしたんですよね。 夫以外の人は、「やめようと思っていない?」「せっかくここまで頑張ってきたのに」”You can do it!”と言ってひきとめるので・・・ 「君はよくがんばったんじゃないか」と夫に言ってもらえたことで、ほ・・・と肩の力が抜けて、閉園を決断しました。あとは経営者として行うべき対応をひとつひとつしていったという感じです。今は、原点にかえって自分のこどもとの時間を大切に過ごしながら、次のステップに向かっているところです。 ふーみん:そこまで走り切ったら人生の幅というか厚みがだいぶできますね。半ば強制的に、、、。 Yukaさん:多くの人にご迷惑をおかけしました。けれど、挑戦したことで素晴らしい出会いに恵まれたり、壁にぶち当たったりすることで、人として本当に成長させていただきました

The DECKのコミュニティコーディネーターとして声がかかった時の心境

ふーみん:生態会の西山さんに、いい人材がいたら紹介してくださいってお願いしたところ、友香さんをご紹介いただいたのが出会いのきっかけです。 面談させていただき、私も代表の森澤も、こんな素晴らしいお人柄と足跡をお持ちで、しかもThe DECKがこれからもっと力を入れていきたいグローバル領域で活躍いただける友香さん。ぜひ仲間になってほしい!とオファーさせていただきました。 その時の心境を教えてください。 Yukaさん:西山さんからはすごくあっさり「The DECKっていうコワーキングスペースを知っていますか?産休入られる方がいて後任を探しておられるのですが興味ありますか?」とかなり簡潔かつライトにお誘いいただいたんです笑 ふーみん:簡潔明瞭な笑 Yukaさん:夫にも話したところ、夫はThe DECKを知っており、「いいんちゃう?合っていると思うよ!」と背中を押してくれました。 このお話をいただく前から、これからどんな仕事をしていこうかと話していた時に、オープンイノベーションな空間で、人と人、ビジネスを繋ぐグローバルな感じの仕事が向いているんじゃないかと夫は言っていたんです。 以前OSAKA INNOVATION HUBが主催するシリコンバレーに1週間行く、ビジネスプランをブラッシュアップする企画に参加したことがあり、現地でプレゼンする機会がありました。 シリコンバレーのカルチャーにすごくわくわくして、たくさんの刺激を受けて帰ってきました。いろんな人が出入りしていて、初めましての人からもどんどん話しかけられて、突然「君のビジネスプランは何?」みたいなことを。あのフリーな感覚。The DECKにはそのカルチャーがあった なので、ここで次のスタートのための第一歩を踏み出したいと、入社を決意しました。

The DECKでどんな人に会いたいですか

Yukaさん:”グローバル”というキーワードで、かつ何か”Make It Happen”したいんだけれど、ちょっとコネクションが足りないという人。国籍は問わないです! または、ぐっともう一歩引っ張っていってほしいと感じている人。 勇気をもってThe DECKに「とりあえず来てください!」と。”Just come over here!"と言いたいです。 その、もやもの状態でいいから!そこが全ての始まりだから! ふーみん:もやもやのままお越しあれ!Welcome to The DECK!ですね^^ 私たちもYukaさんにはぜひグローバル領域・起業支援分野でお力を存分に発揮いただきたいと思っています。

Make It Happenしたいこと

ふーみん:The DECKのコンセプトで”Make It Happen(困難なことでも)実現する”というものがありますが、YukaさんがMake It Happenしたいことはありますか? Yukaさん:20年後の日本が、心豊かな社会になっているための導線をつくること。それは、英会話力とオープンマインドによって実現できると信じています。 日本のカルチャーはやっぱり魅力的。英会話力(感情が伴った会話力)、多様性を受け入れるマインドがあれば! 現時点は、ソフトスタートをはじめたところ。引っ張ってほしいけど、引っ張ってほしいと言えないお客様を手引きして差し上げることで、自分の持っているスキルやマインドを役立て、The DECKのチームで全力サポートし、その方のビジネスのスタート台を築き上げていきたいです。そして、最も大事なことに気づくことをお手伝いしたい it is because of me(私だからこそ)、という起業の原点を。 そうなれば、The DECKは、こどもに負けないくらいチャレンジ精神があふれ、オープンマインドに魅了される人たちが集まり、自然とグローバルなコミュニティの拠点として発展すると信じています あれほど凹んだ事業撤退でしたが、つい最近、目指すものが見えました!私は、幼児期からの地道な教育によって、英会話力とオープンマインドが備わると信じています。一部のラッキーな子どもたちだけの機会だったものを、全ての子どもたちの機会に変革できる方法を模索し始めました!事業プランの名前が決まったら、仲間を募集しようかと考えています。うずうず、ワクワク!めっちゃ地道、そして、絶対ある。 ふーみん:Yukaさんが仲間になってくれて本当に嬉しいです!人に対する愛情と情熱が何事も前向きに切り開いていく力になると感じています。ぜひ、これからのThe DECKをグローバルの海で大航海させてください!