The DECKは”Make It Happen” をコーポレートミッションとしています。それは困難を伴う挑戦に対し、想いをもって実現していくことを意味します。そのミッションのもと、ものづくりFabスペースや多様なネットワークを有し、クリエイターフレンドリーなスペースとして運営しています。

過日、The DECKと本イベントの主催コミュニティである関西をベースとするコミュニティ、「CREA/Me」との連携によって、クリエイターの可能性を後押しする取組みを進めていくため、最近話題のNFTを学ぶイベントを行う運びとなりました。

本レポートでは、当日に行われたイベントの様子を前編・後編の2回に分けてお伝えしていきます。

テクノロジー寄りの話でも、投資や投機の話でもなく、アーティストやクリエイターの活動を後押しするという観点でNFTについて知りたい方は、ぜひご一読ください!当日のYouTube配信のアーカイブとともにご覧いただくと、一層学びが深くなると思います。

 

クリエイターの祭典CRECON6とは?

CRECONとは、「Creator Convention」の略で、クリエイターのための祭典と言えるイベントです。関西でのアート文化を広めるために2016年から開催されており、今回は6回目の開催となります。

 

当初は2021年5月3日〜5月5日の3日間、別会場にてクリエイターによる物販イベントとして開催する予定で、The DECKでもブース出展する予定をしていました。しかし、コロナウイルスの感染拡大および緊急事態宣言の発出により、オンライン配信として今回の内容でYouTube放送することとなりました。

 

 

今回のテーマは、現在、世界でも非常に高い注目を集めている「NFTアート」についてです。

 

当日のオンライン配信は、常時100人以上が視聴しており、残っているアーカイブ動画の再生回数は約1,000回に上るほどの盛況ぶり。配信中にも、続々と多数のコメントや質問が投稿されていました。

それだけ「NFTアート」は、現在注目度が高まっている分野と言えます。最近よく耳にする「NFT」とは一体どのようなものなのでしょうか。また、NFTとアートはどのような繋がりがあるのでしょうか。

今回のイベントでは、NFTとアートのプロフェッショナル達が、初心者にもわかりやすいように解説してくれました。イベントの概要や登壇者のプロフィールはこちら

 

オンラインサロンは自己実現ができる場所

まずは、大阪を拠点に活動しているクリエイターの2大オンラインサロン「CREA/Meetup」の代表藤原さんとコバヤシさん、「Chignitta」の代表谷口さんと笹貫さんの計4名に、オンラインサロンの目的や、これからのアートシーンについてお話ししていただきました。

 

Chignittaの谷口純弘さんは、もともと大阪のラジオ局FM802で30年間務めており、あと2年で定年退職というところでした。しかし、「クリエイターが個人でも活躍できる場を作りたい」という想いからオンラインサロンというかたちでのコミュニティ運営の可能性を感じ、自分自身でもそれを証明するために独立されました。

 

今年の4月に始めたばかりのオンラインサロンですが、すでに80名以上ものメンバーが集っているChignitta。誰かがやりたいことに対してコミュニティ内の皆でアイディアやお金を出し合い、それが実現できる場として機能することを目指しています。

これまではアナログなイメージも大きかったアート業界ですが、デジタル・オンラインと組み合わせることで、アーティストが活躍しやすい世界になったんだなと感じます。

 

今回のオンライン配信、運営スタッフは全員「CREA/Meetup」の若手メンバーで構成されています。CREA/Meetupは関西を中心としたクリエイターで構成されたオンラインサロンであり、コミュニティです。

サロンメンバーだけでこのような規模の配信が実現できるというのは、このCREA/Meetupの強みです。これまでもサロン内のイベントだけでなく、浪速区民まつりの配信運営などで実績を重ねています。大学生を含むサロンメンバーにとっても、サロンの活動を通じて現場感覚を伴うスキルアップができる場として機能しているようです。

それを反映してか、番組配信のリハーサルの時から、真剣な雰囲気の中にも温かい空気のあふれる現場でした。

 

※配信現場の裏側の様子。イベントを支えているスタッフは、ほとんどが20代前半!

 

NFTとは何?初心者にもわかりやすく解説

そしていよいよ本題。
Web3.0社会の実現を目指すFracton Ventures株式会社 代表の鈴木雄大さんから「NFT」について具体的に説明していただきました。

2021年3月、「Beeple」というアーティストのNFT作品が約75億円で落札されたことが話題となりました。これは、アート業界およびブロックチェーン業界にとって歴史的な出来事であり、NFTとアートの相性の良さが証明されるきっかけとなりました。

そんなNFTとは、そもそもどのようなものなのでしょうか?

NFTとは「Non-Fungible-Token」(ノン・ファンジブル・トークン)の略で、例えるなら、「ナンバリング付きのアナログ盤レコードのようなもの」と言えます。

アーティストが10枚限定でアナログのレコードを発売したとして、そのレコード一つ一つにナンバリングがしてあるのをイメージしてみてください。そのような場合、どのレコードも世界に一つだけの商品となりますよね。発行された履歴や、所有権が移動した履歴を残すことのできるブロックチェーン技術を利用すれば、デジタル作品の所有権がどこにあるのかを証明することができるようになりました。

所有権が明確になることにより、作品に唯一性を与えることができます。

 

またNFTアートの場合、作品が転売される際にもともとのオーナーへロイヤリティが手数料として支払われるように設定することも可能です。ロイヤリティの仕組みによって、アーティストに還元されやすい社会を作ることができるようになるのです。NFTは新しいテクノロジーなので、まだ理解している人が少ないのが現状です。

 

NFTは複製できないようにする技術?

NFTアートは複製ができないようなイメージがありますが、結論から言うとアート自体の複製自体は可能です。ただ、複製はできますが、ブロックチェーン上で「誰にオリジナルの所有権があるのか」がしっかりと記録され、改ざんが極めて困難な仕組みとなっているため、「作品の所有権を盗まれることのない世界」と考えて良いでしょう。

 

NFTなら作品に高額な値がつく?

「今はブームだから、NFTなら何でも高額な値段で売れるのでは?」と考える方も多いかもしれません。

しかし、アーティストは自分のストーリーや作品との相性を考える必要があります。Beepleは、5,000日間毎日作品を作っていて、その5,000日分の作品をアートとしてまとめたものが75億円で売れたのです。このストーリー性が評価されたとも言えます。

NFTでアートを販売する際には、いつも作っている作品をそのまま販売するというよりも「NFTの市場で高い価値のある作品」=ストーリー性のある作品を販売することがベストです。

 

NFTはルールがないから危険?

NFT市場には、従来の販売サイトのような「利用規約」がない場合が多いです。また、「どの国の人に購入されるかわからない」という特徴もあります。そのため、説明欄にどの国の言語で書くのか、どの国のルール・文化に基づいて書くのか曖昧になってしまう場合があります。これらの理由から、「権利をすべて取られてしまうのでは?」と誤解されることも。

しかし、ブロックチェーン技術を利用すると、「誰に所有権があるのか明確になっており、それを全員で監視している」という状況になるため、安全に作品を販売することができます。

 

番組前半ではアート関連オンラインサロンコミュニティの紹介にはじまり、本題であるNFT一般についての知識を得る内容となりました。
後編では、NFTの出品方法やアーティストが実際に出品した様子についてレポートしていきます。

当日のYouTube配信のアーカイブはこちらです。