小川:今日はよろしくお願いします。まずは簡単に自己紹介をお願いします。

成尾:大阪・八尾市生まれです。大学を卒業してからはオフィス用の家具を販売している会社に入社しました。営業職で転勤もあり広島、香川、岡山に住みました。実家が大阪で印刷業をしていたので、そこに就職しました。その後、縁があって今大興印刷株式会社に勤めています。

小川:成尾さんはどのようなご経験をされているのですか?

成尾:小学生からサッカーが大好きでした。プレイするのも大好きだったのですが、サッカーを教える事にも興味があり、サッカーコーチのお手伝いをしていました。会社員になってからは、20年間営業職でした。「この人にはどうやったら売れるかな?」と試行錯誤を繰り返している、マイペースな営業マンでした。

 

小川:具体的なエピソードはありますか?

成尾:面白エピソードは沢山ありますよ!オフィス家具業界では、机や椅子って素材が鉄なので30年くらい長持ちするんですよ。新しいものを買うときって、新しいオフィスに引っ越すときくらいしかないんですよね。そういうことから毎回、新規顧客さんなんです。そのことに入社してから気が付きました。

 

小川:ほんとですね、ひたすら新規開拓じゃないですか!

成尾:そうなんですよ。でもそれが自分には合っていました。一般的な営業職は、ルーティンを先輩から引き継ぐことが多いです。僕の場合は毎回新規開拓なので、引き継ぐものがそもそもないのが良かったです。新規開拓なのでお客さんには簡単に会えないので、会う手段を色々考えましたね。昔の手法なんですけど、新聞をよくチェックさせられていました。「新しい建物が建ちます」という情報が建築業界用の情報誌に載ります。誰がどこに新しくビルを建てるのかが分かるので、それを見て営業に行きました。情報誌に載ってから実際に建物が建つまでは、早くて半年。だいたい1年2年とかかります。大変でしたが今思えば情報を取って営業するのは良い経験だったと思います。ゼネコン、設計事務所、オーナーが存在することも知りました。この3者全員と上手く関係が築けたときに営業が成り立ち、それぞれの「こうしたいな」を上手く察知することができたら、良い仕事になって、これを読み間違ったら大失敗するという経験もしました。

小川:過去の経験談、ありがとうございました。それでは今取り組まれていることをお聞かせてください。

成尾:現在は、大興印刷に勤めています。印刷業界も競争が厳しく、各社新しい事業を模索しているところです。新規事業のキーワードが「カードゲーム・ボードゲーム」というアナログゲーム分野のお仕事です。僕はアナログゲームを作るお手伝いをする組織にいます。ゲームにも、作る人・売る人・プレイする人がいますよね。さらに、ゲームを使って何かをする人もいます。アナログゲームに関わる各者がいて、それを面白いなと思いながら各々の立場の方と日々接しています。

 

小川:大興印刷で最初に「ゲームが事業になればいいな」とご提案されたのは成尾さんだと伺っております。

成尾:これまた凄い偶然なんですよ。僕は大興印刷に2018年の4月に入社したのですが、同年2月から会議には参加しており、その際に「3月末にゲムマがある」と教えていただきました。その時は「ゲムマって何?」という状態でした。聞いてみるとインテックス大阪で開催するゲームの展示会ということだったので行ってみました。勇気を出して会場に入ってみたところ目についたのが「でんしゃくじら」というゲームでした。カードゲームで麻雀するような内容です。そのブースの方に、大興印刷で当時作っていたキラキラの名刺を渡しました。その方が実はゲーム作者さんで、「今在庫しているものが全部売れたら、今度はキラキラ仕上げで作りたいです」と言ってくれて、ブース前で会話は盛り上がりました。そしてその日は何もなく帰宅しました。その2年後、2020年1月、営業中電話が鳴りました。「2年前にゲムマでキラキラの名刺をもらった山田です。」と。

 

小川:2年ぶりに凄いですね。

成尾:びっくりしました。当時のゲーム在庫は全部売れたらしくそれで電話をくれたんです。「でんしゃクジラの特別バージョンをキラキラで作りたいです」ということで大興印刷に来てくださったんです。そこからがスタートです。そして実はその方、山田空太さんという方で、日本で5本の指に入るゲームクリエイターさんだったんです。

小川:まさかですね!引きがすごいです!!

成尾:ほんとまさかでした。山田さんから「成尾さん、この数年は絶対にゲームブームがくるから!」と言われて、(その言葉を信じて)大興印刷でゲーム部門の前身のグループがスタートしました。山田さんのご縁で色んな方を紹介してもらって、今に至ります。

 

小川:凄いご縁ですね。

成尾:2020年10月くらいに、「ゲームクリエイターさんとゲームをプレイする会」をThe DECKで開催しました。とても盛り上がりましたね。参加者様も喜んでくれました。そういう会を定期的に開催していると、他のゲームクリエイターさんも「自分が作ったゲームをテストプレイしてくれませんか?」と相談いただけるようになり認知度が上がってきました。会のコンセプトを「触れる、作る、遊ぶ」にしていました。最初は2人しか参加しないときもありましたけどね。でもコツコツと開催していたことで、色んな方が参加してくれるようになりました。

 

小川:コツコツと続けるって大切ですね。ところで、その時はすでにThe DECK会員だったと思うのですが、きっかけは何だったのですか?

成尾:グランフロントのナレッジサロンの会員だったんです。そこでフィラメントの角さんと知り合って、The DECK会員になりました。

小川:こちらもご縁ですね。ありがとうございます。今後、夢などありますか?

成尾:日本全国各地にコワーキングスペース施設がありますよね。The DECKさんのようにコミュニケーションを密にとっていただけるところもあれば、違うところもあると思います。それぞれ特色があると思います。各スペースに行って、面白い人と面白い人を繋ぎたいなと思っています。それが僕にとってはゲームです。人と人を繋ぐ手段としてゲームを使いたいと思っています。ゲームをプレイする時って人となりが見えると思います。そしてゲームをプレイすることで、人となりを知り、いざ何かをしたいときに「こんな人いたな」って、それが役に立つ時があると感じています。

小川:ゲームは人の本質が見えるって言いますもんね。

成尾:大興印刷が掲げている1つに「コミュニケーション活動を通して、世界平和に貢献する」というのがあります。「この人、何を考えてるのかな?」というのが分かるツールがあれば、喧嘩や戦争が起こるまでになんとか手が打てると思うので。もしくはちょっとは争いが減るんじゃないかなと思います。

小川:私たちのシリアスゲームともコラボしていただき、ありがとうございます!!印刷でカードを提供してくださり本当に助かりました。

成尾:石田さん(なっちゃん・The DECKコミュニティコーディネーター)ともコラボできました。子どもたちにお祭りで使えるお面の提供ができて良かったです。またThe DECK代表の森澤さんが関わっているデジタルアートにも関心があります。印刷会社でも何かできることがあるのではないかと思っています。色んな楽しそうなことを勝手に考えています。さらに、今年1月に難病が見つかったこともありパラアートにも関心があります。まだアイデアがあるわけではないですが、当事者だからこそ出てくるアイデアもあるのかなと思っています。

 

小川:沢山の夢がありますね。これからも楽しくThe DECKと関わってください!!ぜひ一緒にMake It Happenしましょう!!

 

大興印刷株式会社 ボードゲーム研究所

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